1986 年 11 月、当時のユナイテッドは過去の栄光に背を向けるようなプレーぶりをみせていた。サウサンプトン戦で 1-4 という惨敗を喫し、前年には優勝争いに絡んでいたチームが降格圏内に落ちるという屈辱的な事態に直面。
マット・バスビーが監督を務めていた時代以降、思うような結果を残せずにいたことで、チーム首脳陣も変革の時期と決断した瞬間だった。
5年間続いたロン・アトキンソン監督体制では、FAカップで2度優勝、そして国内リーグでも4位以上という成績を収めていたが、ビッグ・ロン(アトキンソンの愛称)にはトップ2以上の結果を残すだけの能力が欠けていた。
その結果アトキンソンは更迭されたが、既に首脳陣の頭の中には、プレッシャーに打ち勝つことができ、すぐにでもかつての栄光を取り戻せるである後任候補の存在があった。その人物こそ、アレックス・ファーガソンである。
監督就任後の初戦となった試合のプログラムで、ファーガソン監督は次のように心情を記している。
「マンチェスター・ユナイテッドの歴史を背負うことは、非常に大役だ。しかし、私は過去に起こったことには一切関心が無い」